夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
 ランスロットだって、今では彼女から六歩離れる必要がある。だが、それをブラムに教えると、彼から「ざまぁ、みろ」と言われる気がしたので、心にとどめた。
「で? シャーリー……さんは、いつから仕事復帰すんの?」
「シャーリーは俺専属だ」
「わかってるけどさ。そうやって独り占めすんのは褒められないよな。家でも職場でも、って。こもって何やってんだって話になるべ」
「伝票の整理だ……」
 ブラムはぶほっと噴き出した。思わず胸元に手を当てる。
「やっべぇ。想像できる。笑える……」
「ブラム。笑い過ぎだ。やはり、お前にシャーリーは貸さない」
「うっわ。悪かったって。っていうかさ、シャーリーが戻ってきたらオレにも教えて」
「だから、呼び捨てにするな」
 エントランスホールまで戻って来た時、両手を合わせてランスロットを拝んだブラムは、諜報隊が待機する諜報の間へと戻っていく。その隣に、ブラムが執務室を構えているからだ。ああ見えても、彼は諜報隊の隊長である。
 ランスロットは軽く息を吐いてから、執務室へと戻った。
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