夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
いつまでもこのような暮らしをしていていいのだろうか。できるのであれば事務官としての仕事に戻りたい。ここ二年間の税率については、シャーリー自身がまとめていた資料によって理解できた。自分がまとめただけあってわかりやすかった。
「……奥様」
こうやって控えめに声をかけてくるのは、執事のセバスである。
「旦那様が、また書類の方でわからないところがあるとのことなのですが」
彼はシャーリーとの適切な距離をわきまえていて、けしてシャーリーの五歩圏内には入ってこようとはしない。
「わかりました。お預かりします」
セバスは書類をシャーリーに手渡すようなことはせずに、黙ってテーブルの端に置いていくのだ。彼が立ち去ってから、シャーリーはその書類に手を伸ばした。
(領地の会計報告書だわ。それも先月分。これは、二日以内にまとめて国へ出さなければならない書類じゃない。またこんなギリギリになって)
心の中ではいくらでも文句が言えるのに、ランスロット本人の前ではもちろん言えない。
シャーリーは書類を手にすると立ち上がった。近くにいたイルメラに声をかけ、部屋へと戻る。
シャーリーの心はなぜか高鳴っていた。こうやって仕事を与えてもらえることが嬉しかったのだ。心の中で文句を言いつつも、顔は緩んでいた。
部屋へと戻り、机と向かい合って座ると、先ほどの書類を広げた。
ランスロットは計算が苦手だ。たまに一桁見失って計算をしていることもある。だから、彼の「わからない」は「計算が合わない」という意味なのだ。
「……奥様」
こうやって控えめに声をかけてくるのは、執事のセバスである。
「旦那様が、また書類の方でわからないところがあるとのことなのですが」
彼はシャーリーとの適切な距離をわきまえていて、けしてシャーリーの五歩圏内には入ってこようとはしない。
「わかりました。お預かりします」
セバスは書類をシャーリーに手渡すようなことはせずに、黙ってテーブルの端に置いていくのだ。彼が立ち去ってから、シャーリーはその書類に手を伸ばした。
(領地の会計報告書だわ。それも先月分。これは、二日以内にまとめて国へ出さなければならない書類じゃない。またこんなギリギリになって)
心の中ではいくらでも文句が言えるのに、ランスロット本人の前ではもちろん言えない。
シャーリーは書類を手にすると立ち上がった。近くにいたイルメラに声をかけ、部屋へと戻る。
シャーリーの心はなぜか高鳴っていた。こうやって仕事を与えてもらえることが嬉しかったのだ。心の中で文句を言いつつも、顔は緩んでいた。
部屋へと戻り、机と向かい合って座ると、先ほどの書類を広げた。
ランスロットは計算が苦手だ。たまに一桁見失って計算をしていることもある。だから、彼の「わからない」は「計算が合わない」という意味なのだ。