夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
ですが、とシャーリーが言いかけたが、声になることはなかった。
今ここでシャーリーが断ればアンナの負担が増える。ただでさえ彼女は責任ある立場にあり、業務量が多い。そんな彼女に新たな負担を強いることになるのは、とても心苦しい。
「わ、わかりました……」
シャーリーはぎゅっと両手を握りしめた。
「そ、そうか。そうしてもらえると俺は助かる。仕事中はできるだけ君に近づかないようにする。ただ、来たときと帰るときだけは声をかけて欲しい」
「はい」
「もし、君の体調さえ良ければ、明日からでも頼みたい。俺から言いたいことは、それだけだ」
そう笑んだ彼の顔が、どことなく寂しそうに見えた。扉を閉めて、その場から離れようとしている。
「あの、団長」
シャーリーは思わずランスロットを呼び止めた。それは手元に、先ほど執事のセバスから預かった書類があったためだ。
彼女から呼び止められたことに、ランスロットは驚いたのだろう。扉の取っ手を手にしたまま、ぴくりとも動かずシャーリーを見つめている。もしかしたら、息も止まっているのではないかと思うほど、じっとしているのだ。
「先ほど、セバスさんから書類を預かったのですが。こちら、すぐに修正して明日中には提出していただきたいのです」
そこでランスロットの視線が泳いだ。やっと彼が動いた。
今ここでシャーリーが断ればアンナの負担が増える。ただでさえ彼女は責任ある立場にあり、業務量が多い。そんな彼女に新たな負担を強いることになるのは、とても心苦しい。
「わ、わかりました……」
シャーリーはぎゅっと両手を握りしめた。
「そ、そうか。そうしてもらえると俺は助かる。仕事中はできるだけ君に近づかないようにする。ただ、来たときと帰るときだけは声をかけて欲しい」
「はい」
「もし、君の体調さえ良ければ、明日からでも頼みたい。俺から言いたいことは、それだけだ」
そう笑んだ彼の顔が、どことなく寂しそうに見えた。扉を閉めて、その場から離れようとしている。
「あの、団長」
シャーリーは思わずランスロットを呼び止めた。それは手元に、先ほど執事のセバスから預かった書類があったためだ。
彼女から呼び止められたことに、ランスロットは驚いたのだろう。扉の取っ手を手にしたまま、ぴくりとも動かずシャーリーを見つめている。もしかしたら、息も止まっているのではないかと思うほど、じっとしているのだ。
「先ほど、セバスさんから書類を預かったのですが。こちら、すぐに修正して明日中には提出していただきたいのです」
そこでランスロットの視線が泳いだ。やっと彼が動いた。