「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「エルマ、お待たせした……」
「遅いわよ、もうっ!あなたが陛下をはやく連れてこないから、ナオに寂しい思いをさせてしまったじゃない」
「これでも大急ぎで……」
「いいからいいから、ほら」

 エルマが腕を差しだすと、カストは可愛い顔に苦笑を浮かべてその腕を取った。

「ジルド、宰相。いますぐ、ここから出て行け。処分は、追ってする」

 フランコは、わたしを連れて大広間の中央部分に向かって歩きながら冷たく言い放った。

「さあっ、紳士淑女諸君。わが愛する女性(ひと)の為に集まってくれたのだ。存分に楽しんでくれ」

 フランコは、大広間内に響き渡る声で宣言をした。そのタイミングで、また音楽が再開されて人々が踊りはじめた。
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