無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「志賀さん!!」

 呼びかけられた志賀さんが「声がデカいよ」とあきれ笑う中、私は緊張を少しでも抑えようと大きく深呼吸した。

「好きです!! 私、ずっと前から志賀さんのことが好きでした!!」

 ついに、長年片思いしていましたと白状してしまった。
 急激に顔に熱が集まるのを感じながら、チラリと隣を盗み見ると、志賀さんは口を半開きにしたまま固まっていた。

「ごめんなさい。困らせるつもりはないんです。ただこの気持ちを伝えたかっただけなので……」

 恋とは自分勝手なものなのかもしれない。
 時にはこうして、相手のことを考えずに一方的に思いをぶつけたくなるのだから。

「君は本当に、順番がめちゃくちゃだな」

 すみませんと謝ろうとしたけれど、クツクツと笑う志賀さんの笑顔が綺麗すぎて、それに見惚れて言葉が出なかった。

「一緒に飲みに行ったあの夜、俺をホテルに誘おうとしてただろ? あれは本気だった?」

「……はい。一度きりでいいから夢を見たかったんです」

「俺の気持ちをたしかめもせずに?」

 打ちのめされるとわかっている結末を、わざわざ尋ねる勇気はあの日は持ち合わせていなかった。
 なんとか一夜の過ちが起こらないかと、私はただそれだけを願っていた。

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