無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
 てっきり四方さんは志賀さんが好きなのだと思っていた。
 志賀さんもまんざらではなさそうだから、ふたりは両思いなのかと……。
 なのに実際は、ふたりとも互いに恋愛感情はなかっただなんて、驚き以外の言葉が見つからない。

「人の気持ちって勝手に判断したらダメなんですね。自分の気持ちも言葉にしないと伝わらない」

「そうだな」

「私は志賀さんが好きです。何度もあきらめようとしたけどダメでした」

 一度口にしてしまえば、堰を切ったように思いがあふれ、何度でも言いたくなった。
 本当は一番最初に伝えなきゃいけないことだったのだ。
 彼の言うとおり、私は順番を大きく間違えたみたい。

「あのさ、かわいすぎる」

 志賀さんがそうつぶやいたあと、私の頭を掻き寄せて抱きしめた。
 彼の広い胸板からドキドキとした鼓動が聞こえてくる。それすらも愛おしく感じるなんて、私は本当に彼に陥落している。

「知鶴」

 下の名前で呼ばれるのは初めてで、ビックリして顔を上げると、端整な彼の顔が近付いてきて唇が重なった。
 もしこれが夢なら、ずっと覚めないでほしい。

 彼は顔の角度を変え、再び私の唇を食むように緩急を付けながらキスを繰り返す。 
 閉じていた唇のすき間から彼の舌が侵入してきて驚いたけれど、ガッチリと後頭部を支えられているので逃げるに逃げられない。
 あっという間にねっとりと舌を絡められてしまった。

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