無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「あの、辞めちゃうんですか? 処女は抱きたくないとか?」

「そんなわけないだろ。でもここじゃちょっと……」

 志賀さんが立ちあがり、私の手を引いて寝室に移動した。
 ベッドの縁にふたりで腰をかけたところで、彼が静かに口を開いた。

「初めてだからやさしくするよ。もし嫌なら今日は辞めよう。無理してほしくないから」

「でも、神様がくれたチャンスをみすみす逃したくはないので、がんばります!」

 せっかく志賀さんがその気になってくれたのだ。
 私が夢見たシチュエーションまであと一歩なのに、ここで怖気づいたら全部台無しになりそうな気がした。
 断って志賀さんに嫌われたら、もう二度とこんな機会はやってこないかもしれない。

「なにか勘違いしてそうだけど、俺は一夜限りにするつもりはない。今後は貪欲に何度でも誘うと思う」

 志賀さんに好きだと言ってもらえたのは幻聴ではなかったんだった。
 貪欲に? 何度でも?
 彼が口にした言葉で、ベッドで絡み合うシーンを妄想してしまって勝手に顔が赤くなっていく。

「そんな顔するのは反則だろ。あんまり煽んないで。こっちも抑えるのが大変だ」

 そうは言いつつ、志賀さんは私の表情の変化を楽しむように視線を送ってきていて、余裕たっぷりに見える。

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