無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「俺を好きでたまらないって、その気持ちがうれしい」

 彼は私の肩を抱き寄せ、熱のこもった瞳で唇を重ねてきた。
 私が彼のシャツを掴んで必死に応えていると、絡んでいた舌が解放されて唇が離れていく。

「やっぱり一気に食べるのはもったいないかなぁ」

「やだ! 嫌わないでください」

「え、なんでそうなるんだよ。そんなに煽って、俺が手加減できなくなってもいいの?」

 煽ったつもりはないが、彼の問いには静かにうなずいた。
 抱かれるだけで幸せだと思っていたけれど、彼に気持ちよくなってもらいたいし、行為に夢中になってほしい。だから手加減は要らない。

 志賀さんが私をやさしく押し倒し、唇だけでなく頬や首筋にキスをしながら身体を撫でていく。
 服を脱がされ、下着姿になっただけで恥ずかしかったのに、ブラをずらされたときには顔から火が出そうになった。

「知鶴、綺麗だ」

 いつの間にか彼も裸になっていて、見上げた先には引き締まった胸板があり、私もどんどん気持ちが高ぶってくる。
 胸元や太ももに触れる彼の唇の感触が心地よくて、少しずつ恥ずかしさが薄れてきた。

「あっ……んっ……」

 自分でも驚くほど甘美な声が漏れる中、初めて味わう痛みと共に、人生で最高の喜びを感じた。

 好きじゃない人に触れられるのは気持ち悪いだけなのに、好きな人に抱かれるとこんなに幸せなのだと知った。

 手加減できないなんて言っていたけれど、彼は壊れものを扱うようにやさしく抱いてくれた。
 やっぱり志賀さんを好きになってよかった。

 夜中に目が覚めて、間近にあった彼の耳元で「愛してます」と小さくつぶやいてみる。
 朝になって、全部夢だったら嫌だなとネガティブな思考がよぎったけれど、身体の痛みで夢ではないとわかるだろう。

 幸せすぎて死にそうだ、と生まれて初めてそう思った。

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