今夜も君を独り占め。
そう言えば……篤なんて,碧に呼ばれたことはない。

ちらっと見ると,外面も何もかもなくなって。

無表情な碧の姿があった。

キレイな顔に色が無くなると,少し寒気がする。



「知り合い,ね」



片眉を綺麗に上げた碧が,じとりと俺を見上げた。

言いたいことは分からなくもない。

基本的に,全てのものは見せびらかしたくなるタイプの碧。

それを抑制して隠させているのは,俺の方だ。

どう言い訳するかと考えあぐねる俺を見て,何かに気が付いた碧。

ふと俺を見上げて,にやりと笑った。

そして



「知り合いに熱くなってたら,だめじゃない? 普通に変態だと思う」



あ? と見下ろし目線を合わせる前に。

なんの戸惑いもなく碧は。

決して安易に潰してはいけない場所を,思い切り握り潰した。



「₩☆……~…っ」



色んな感情で,声すら出ない。

次に碧の姿を瞳に捉えた時。

碧は既に,高い車へと歩き出している。

鍵を指にかけて回す碧は,もうとっくにご機嫌だった。
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