すれ違いのone-sided love
実家の僕の部屋は、親がそのままにしてくれている。

普段は全くそんなことはないのに、実家の部屋に戻ると、何故か今でも古傷は疼く。

例えば…もし、中学の頃に、もっと青山に優しく出来ていたら、今でも彼女は隣に居てくれたのか?など、不毛なタラレバばかりだが。

僕たちの間には、デートの思い出のひとつすらない。

中学の頃、青山が映画に誘ってくれたのも断ってしまったし、再会してから誰も居ない海へ行ったのも、あれはデートなんて言えないだろう。

今日は連休の中日。

たまには、いつもと違うことをしてみようかと思い、廃業の危機にあるという、地元の名画座へ行くことにした。
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