ふられたラブレター

第三章


颯真の双子の兄、和真は黒のウィッグをつけ、颯真の予備の制服を着て、颯真に成り代わりさくらに近づいていたー

颯真「まさか和真があの子のこと好きだったなんて全然知らなかったよ。」

和真「まーな。」

颯真「···俺に変装してあの子に近づきたいって言われた時はさすがにびっくりしたけど。」

颯真の言葉に和真は切ない表情を浮かべながら
「俺じゃ好きになってもらえないから。」
とボソッとつぶやいた。


和真「けど颯真のおかげでさくらとうまくいきそうだわ、マジでありがとな。」

「あっ、それとさくらから手紙受け取ったから読んでくれないか?」

そう言うと“颯真くんへ”と書かれた手紙を机の上に置いた。

颯真「···ごめん、受け取れない。」

和真「なんで?」

颯真「好きな人がいるから。」

和真「ふーん。それって··有か?」

少しの沈黙の後、和真が口を開いた。

和真「好きなら告れば良いのに。有だってきっと嬉しいと思うよ?」

颯真無言

和真「まっ、片思いこじらせてるのは俺もか。そう考えるとさくらってすげーよな。あんな人が大勢いる中でお前に告ったんだから。」

そう言い終えると和真は部屋から出ていこうとしていた。そして
「しばらく颯真の予備の制服借りるな。」
と言い残し部屋のドアを閉めた。

颯真は複雑な表情のまま手紙を見つめていた。


○さくらの部屋 夜

さくら(あぁ〜緊張して帰り道颯真くんと全然喋れなかったぁ。て、手もつないじゃったし!)

(颯真くんの手、あったかかったな。)

思い出して顔が赤くなるさくら。

それと同時に、颯真にナンパ男から助けてもらったことも思い出す。

さくら(また颯真くんに助けてもらっちゃった。一年前に助けてもらったのがきっかけで颯真くんのこと気になり始めたんだよね。)

(あの時もカッコ良かったけど、今日の
“勝手に人の女に手出してんじゃねーよ”もドキドキしちゃった···。)

(けどまだ付き合ってるわけじゃないし、浮かれてまた悲しい思いはしたくないよ。まずは渡した手紙、読んでくれると良いな。)


○さくらの家の前 朝

学校に行くため玄関を出るさくら

さくら「行ってきまーす。」

ガチャ

さくら「あれっ?颯真くん!?」

颯真(和真)「おはよ、さくら。」

家の前に颯真(和真)が立っていて驚くさくら。

さくら「おはよう、颯真くんどうしたの?何かあった?」

颯真(和真)「うん、あった。さくらが変なヤツに絡まれないように迎えに来た。」

そう言うと颯真(和真)はさくらの手を昨日とは違い、少し強くにぎった。

さくら「心配してくれてありがとう。颯真くん優しいね。」

颯真(和真)「いや、好きな子を守りたいって思うのって普通じゃねーの?」

さくら(好きな子って···私のことだよ··ね?)

さくら「···うん、そうだよね。私も好きな人が困っていたらすぐに駆けつけて助けてあげたい。」

颯真(和真)「だよな!···ということで今日からさくらの送り迎えが俺の役目だから。」

さくら「ありがとう···でも、無理はしないでね。」

(悪いし一人で大丈夫って言っても多分利かなさそうだから··お願いしよう。)


颯真(和真)「まかせとけ!道中たくさん話そうな。」



○さくらの学校前 朝

颯真(和真)に送ってもらい、学校の前に到着するさくら。

颯真(和真)「じゃあ、帰りもまた迎えに行くから良い子で待っててな。」

颯真(和真)はそう言うとさくらの手をゆっくりと離し、代わりに小指を絡ませた。

颯真(和真)「ゆびきり。嘘ついたら······俺、さくらのこともっとひとりじめするから。」

さくらはコクンと小さくうなずくと、颯真(和真)は右手を左右に振って戻っていった。

それを見ていたさくらと同じ学校の制服を着たショートカットの女子高生、有(ゆう)

有「えっ、あれって······颯真!?」
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