ふられたラブレター

第四章

有(横顔しかわからなかったけど···颯真に似てた。白北学院の制服着てたし。そして一緒にいたあの子、まさか彼女じゃないよね?)

(颯真って昔から勉強一筋で恋愛になんて全く興味無さそうだったのに······まっ、私には関係ないか。)

動揺しながらも気にしないそぶりで学校に向かう有。


○さくらの教室

みっちゃん「さくらおはよ〜あれっ?なんかいいことあった?顔がにやけてる。」

さくら「みっちゃんおはよう。えっ、私にやけてた??」

みっちゃん「うん、めっちゃ(笑)颯真くんに失恋して落ち込んでたから心配してたけど、元気そうで良かった。」

さくら(その颯真くんに“付き合って欲しい”って言われたなんて話したら、みっちゃん絶対びっくりするよね···。)

さくら「うん、もう立ち直ったから大丈夫!心配かけてごめんね。」

みっちゃん「なんも!やっぱさくらは笑ってる顔が一番だよ。」

さくら「みっちゃん···ありがとう。」

さくらとみっちゃんは顔を見合わせて笑った。

みっちゃん「そう言えば特進科の森内有、この前また他校の男子に告られてたよ〜。
2年になってまだそんなに経ってないのにさ、さすが星女のマドンナだよね。」

さくら「森内さんって生徒会の演説でよく見かけるけど、ショートカットのすごく美人な人だよね?」

みっちゃん「そうそう、美人で頭も良くてしかも!あの秀才達の宝庫、白北学院に彼氏がいるって噂だよ。」

さくら(白北学院と言えば颯真くんの学校······)

ボンッ(脳内で今朝の颯真(和真)の言葉がリピートされる)

「ゆびきり。嘘ついたら······俺、さくらのこともっとひとりじめするから。」

颯真(和真)の言葉を思い出し恥ずかしくなったさくらは、思わず机に突伏する。

みっちゃん「あっ、しまった!そう言えば颯真くんも白北学院だったよね。余計なこと言ってごめん!!」

さくらが白北学院と聞いてショックを受けたと勘違いしたみっちゃんは、慌てて何度もさくらに平謝りした。

さくら「みっちゃん謝らないで、颯真くんのことは全然気にしてないから。」

みっちゃん「ホントに?よーし、じゃあ今度パーッと合コンでもしよっか!」

さくら「それは、気持ちだけ受け取っておくね(笑)」

みっちゃんとのなごやかなやり取りの中で、さくらは颯真とのことはまだ黙っていようと心の中で思った。


○さくらの学校の前 放課後

颯真(和真)は放課後、さくらの学校に迎えに来ていた。

颯真(和真)「よし、ちゃんと約束守ったな。」

さくらの頭をポンポンする颯真(和真)

颯真(和真)「じゃあ、良い子にはご褒美あげないとな。さくら···目瞑って、口開けて?」

さくら「えっ??こ、こう?」

さくらは目を瞑り口を小さく開いた。

颯真(和真)「かわい」

颯真(和真)はボソッとつぶやくと、飴玉をさくらの口の中にそっと入れた。

颯真(和真)「目開けて良いよ。」

さくら「なんか、口の中が甘い···。」

颯真(和真)「あ·め」

颯真(和真)は自分の唇に人差し指を当ててさくらに言った。

颯真(和真)の仕草にドキッとするさくら。

颯真(和真)「んっ。」

颯真(和真)が右手を出すと、さくらはそっと左手を重ねた。

颯真(和真)「なんか行きも帰りも一緒って、まるで恋人同士みたいだな。」

さくら(恋人同士!?嬉しいけど、なんて答えればいいの〜)

さくら「えっ、えと···。」

返答に困るさくら。

颯真(和真)「嫌?俺はさくらとそうなりたいと思ってるけど?」

颯真(和真)はそう言っていたずらっぽく笑った。

そしてさくらの方に首を傾けて言った。

「···さくら、今度の日曜空いてる?」

さくら「う、うん空いてるよ?」

颯真(和真)「じゃあ、俺とデートしない?」

さくら「デート···うん、はい、します!」

興奮気味に答えるさくら。

颯真(和真)「ハハッ。良い返事(笑)
じゃあまず連絡先交換して···場所はー俺に任せてもらえる?」

さくら「うん、わかった。日曜日楽しみにしてるね。」

颯真(和真)「おう俺も。」


○さくらの家

颯真(和真)に送ってもらい、帰宅したさくらが玄関を開けるとー

ガチャ

さくらの妹はな「あっ、お姉ちゃんおかえりー。」

はなの家庭教師雅生(まさき)「さくらちゃん、こんにちは。」

玄関にはさくらの妹はなと、はなの家庭教師に来た雅生がいた。

さくら「はなちゃんただいま。雅生さん、こんにちは。」

はな「お姉ちゃん、日曜日映画見に行かない?雅生さんがチケットくれて···」

さくら「ごめん、日曜はお姉ちゃんその···デ、デートだから······」

はなと雅生は顔を見合わせ、そして同時にこう言った。

はな·雅生「お姉ちゃん·さくらちゃんがデート!?」
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