ふられたラブレター

第六章

颯真「久しぶり。」

有「こんにちは。ホント久しぶりだね。今日は和真いないの?」

颯真「和真は朝からデートに行った。」

有「え〜いつのまに!?そーなんだ、和真に彼女がねぇ···ってそういう颯真はどうなのさ?」

颯真「俺は全然だよ。」

有「またまたぁ〜颯真、この前うちの学校の校門の前に女の子と一緒にいなかった?」

颯真「は!?いつ···」
(あっ、まさか俺に変装した和真か?)

颯真「···人違いじゃない?俺、星女学院に有しか知り合いいないし。」

有「そっかぁ···っていうか私も全ー然彼氏出来ないよ(笑)」

颯真「まぁ、有ならすぐに良い奴見つかるだろ。ってか何か用あった?」

有「あっ、うん。颯真に参考書借りようと思って。連絡先知らないからいきなり来てごめんね。」

颯真「別に良いよ、ちょうど家にいたし。あー···家上がってく?」

有「いや、ここで待ってるね。」

颯真「分かった。じゃあ取ってくるからちょっと待ってて。」

トントン······
颯真が階段を上がって行く後ろ姿を見ながら有は
(すぐに良い奴見つかるって···颯真のばか)と心の中でつぶやいた。

バタン
部屋のドアを閉めた颯真。

颯真「はぁー······俺って本当ヘタレだな。」

颯真はドアにもたれ掛かりうなだれた。


○動物園

昼食を食べ終えたさくらと颯真(和真)はどこを回るか話していた。

颯真(和真)「昼飯も食い終わったし、さくらどっか見たいとこある?」

さくら「じゃあ、小動物コーナーに行きたいな。」

颯真(和真)「了解。」

二人は小動物コーナーに移動。

さくら「わぁ〜!ウサギ可愛い!さわっていいのかな?あっ、ヒヨコもモルモットもいる!」

颯真(和真)「さくら慌てなくていいから、ゆっくり見ような。」

はしゃぐさくらを見て、可愛くてたまらない様子の颯真(和真)

さくら「はぁー···全部可愛くて癒やされる。颯真くんはどの子が好き?」

颯真(和真)「俺は···」

と言いかけた颯真(和真)はしゃがんでいるさくらを後ろからギュッと抱きしめ
「この子が一番好き。家に連れて帰りたい位。」
と言った。

さくら(!!)

(ちかいちかい、心臓バクバクはやいし、触れてるとこが熱いっ)

(けど嫌じゃない。···颯真くんがくれる言葉も、ギュッてするのも全部私にだけだったら良いな。)

さくらは颯真(和真)の腕を両手でキュッと握り返すと、“もう少しこのままで”と心の中で思った。


○帰宅途中 夕方

動物園デートが終わり、家まで送ってもらうさくら。

さくら「今日はありがとう。すごく楽しかったよ。」

颯真(和真)「俺も。またデートしような。」

さくら「うん。じゃあ、また明日ね。」

颯真(和真)「あっ、そうだ明日の朝なんだけど、課題提出があるから早く学校行かなきゃだめで迎えに行けないんだ。ごめん。それと···」

颯真(和真)はポケットからウサギのストラップを二個取り出すと、さくらに一個渡した。

颯真(和真)「さっき動物園で買った。さくらウサギ好きそうだし、これならお互い離れてても寂しくないと思って。」

さくら「ウサギのストラップ···嬉しい!ありがとう。」

颯真(和真)は少しだけ笑うと、真剣な顔でさくらを見つめ、ゆっくりと話し始めた。

颯真(和真)「さくらから受け取った手紙···読んだよ。一年前の地下鉄での一件から、俺のことずっと思ってくれてたの知れてすげぇ嬉しかった。」

「俺も、ずっとさくらのことが好きだった。改めて俺と付き合ってください。」

真っ直ぐな目でさくらに想いを伝える颯真(和真)にさくらはー

さくら「···ふられても諦めなくて良かった。私でよければよろしくお願いします。」

颯真(和真)ズキン··· 

嬉しいはずなのに良心が痛む颯真(和真)

でも俺は俺のやり方でさくらを幸せにすると心に誓った。


その後、それぞれの家で報告↓

○さくらの家

さくら「はなちゃん!私、颯真くんと付き合うことになったよ!」

はな「わぁ〜お姉ちゃんおめでとー!!一年越しの片思い実って良かったね。」

さくら「うんうん、ありがとう。これからはいっぱい恋バナできるね!」


○和真·颯真の家

和真「今日さくらに告って付き合うことになったから。一応報告デス。」

颯真「そっか、おめでとう。···けどそれってやっぱり俺(颯真)としてなんだよね?」

和真「···うん。ごめん。けど、颯真には迷惑かけないようにするから!
今はまださくらが颯真のことを好きでも、もう俺しか見えない位可愛がって優しくして、必ず俺の方振り向かせるから。」

「···俺だってずっと前から好きだったんだ。簡単に諦めるわけにはいかねぇ。」

颯真「······ずっと前って初耳なんだけど。和真ってさくらちゃんのこといつから好きだったの?」

和真「その話、また今度な。」


○地下鉄 翌日早朝

いつもより早い時間帯の地下鉄に乗り込むさくら。

さくら(もしかしたら颯真くんに会えるかもって思って、いつもより早く来ちゃった。浮かれすぎかな?)

(まだ全然実感ないけど私···本当に颯真くんと付き合うことになったんだよね?)

するとさくらの近くに男子高校生が集団で乗って来た。

男子高校生1「まさか月曜の朝から課題提出とはな〜俺等赤点組だけじゃん。」

男子高校生2「昨日はマジ徹夜する勢いだったぜ。まぁ和真は昨日デートだったみたいだけど?」

和真「まーな。お陰で課題ボロボロだけど(苦笑)」

男子高校生3「あれ、そのスマホについてるストラップ、もしかして彼女とおそろい?」

和真「ちょ、いじるなって···あっ」

ガシャーン

取り合いになりスマホが床に落ちてしまった。
その音の方向に目をやったさくらが見たものは、昨日颯真(和真)に貰ったおそろいのウサギのストラップだった。

さくら「あのストラップって···えっ、どういうこと!?颯真くんー」
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