悪役令嬢ふたりの、のほほん(?)サバイバル暮らし
 ロバートは熱っぽく語り出す。

 アルベルティーヌがいなくなって、王宮は一時大混乱だったらしい。
 まず、アルベルティーヌを王妃に推薦した貴族派は怒り狂い、一方的に婚約破棄を宣言したロバートを揃って糾弾し、議会は大荒れ。そのうえミニュエットもいくら美しいと言えど、しょせん子爵家の令嬢。生まれた時から王妃になるべく育てられたアルベルティーヌと比べられ、すっかり彼女は不貞腐れてヒステリックになり、ロバートにきつく当たるようになった。

 そして、極めつけはロバートの王子としての仕事だった。
 王子としての仕事は、宰相たちとの調整役や慈善事業、新たな技術への投資、無名の芸術家へのパトロン活動まで多岐に渡る。
 その仕事だが、実情としては優秀なアルベルティーヌが陰ひなたにほとんど担っていた。
 そのため、アルベルティーヌがいなくなったことで彼の公務は滞ってしまい、王子の評判がガタ落ちしてしまったのである。
 
 話を聞き終えたパメラは、信じられない思いでアルベルティーヌを凝視した。

「アルベルティーヌさん、貴女って本当は優秀なお方だったのね……?」
「えっ、当然でしてよ? わたくしを何だとお思いだったの?」
「生活力ゼロの困ったちゃんですわ」

 パメラは間髪入れず即答する。アルベルティーヌは複雑な顔をした。否定はできない。

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