乳がん一年生

手術前検査:遺伝子検査と造影エコー

翌週は、2回病院へと向かうようになりました。
まず月曜日は、遺伝子検査のための血液採取です。

年末、がんを告げられたときに聞かされていた遺伝子検査。
私の中ではハリウッドスターのアンジェリーナジョリーさんがこの検査をして、予防のために乳房切除をしたという理解でしかなかったのですが、がんが見つかった後の治療についても検査結果が反映されることもあるということだったので、家族と相談の上受けることにしました。
理由としては、祖父母や父ががんになっているということもありますが、保険が適用されるというのも少し大きかったです。
しかし、その『保険適用』が中々の衝撃を与えることをこの時の私は知りません……。
血液検査だけなので1時間もあれば終わるだろうと思っていた私は、昼休みの前11時から時間休をもらって病院へと向かいました。
そして受付をすませ、採血を行う処置室へ向かったのですが……。
そこに広がるのは人、人、人の光景。
「え、こんなにいつも待ってたっけ?」と思いながら処置室で呼び出してもらう受付番号をもらったのですが、その番号から今呼び出されている番号を逆算すると、なんと40人待ちの状態だったのです……!
処置室の机は私の目視で約5席。8回回転すればおそらく私の番がやってきて、採血の時間がひとりあたり5分と換算すると約40分。それなら昼休み明けの13時には帰ることは可能だな、なんて計算をしていたのですが、しばらくして予想外の事実に直面します。
採血する人が3人しかおらず、5席がしっかりと回ってはいなかったのでした。
時期的にコロナの関係でお休みも増えていたのでしょう、忙しくても人を回すことができなかったんだろうなと理解はできたのですが、そうなると私の計算はずれてきてしまいます。
12時半になっても呼ばれなければ、職場に時間休の延長を申請しようと思っていたところ、なんとかその時間前に呼び出され、
しっかりと採血をしてもらうことができました。
そして、急いで会計を済ませるために支払いの明細を見た瞬間、予想以上の請求に私の手は止まり、3度見くらい金額を見直したのですがまったく金額は変わることがありませんでした。
確かに先生が「保険が適用されなければ結構高いので」とは言っていたけれども。
そして私も「じゃあ、いくらなんですか?」と聞かなかったけれども。
まあ、しっかりと検査してもらおうと思って受けたのは自分自身なので後悔はしていませんが、ちょっとびっくりしてしまった出来事でした。
親もそれだけ高額になるとは思っていなかったらしく、帰宅して「ねぇ、聞いて聞いて!」と金額を告げると固まっていました(苦笑)
私の血液は海を渡り海外で検査をするそうで、結果が返ってくるまで3週間程度。
支払い機から出てくる領収証をしっかりと受け取り、超特急で電車に乗り込み、なんとか13時ギリギリに職場へと戻ることができました。

同じ週の水曜日には造影エコーの撮影のため、午後からお休みをもらい病院へと向かいました。
造影CTのときと同じように、まずは造影剤を入れる前の生理食塩水を点滴されベッドに横になって技師さんを待ちます。
そしてエコーが始まり、さあ造影剤を入れましょう……という段階になって、技師さんの手が止まりました。
「ちょっと待っててくださいね。先生に確認してきます」と席を外した後、帰ってきた技師さんから告げられたのは、「エコー中止します」という一言。
その後に、看護師さんに「大きすぎる」と言って、立ち去ったのです。
ん? 大きいって何が? しこりが?
と、私の頭の中も少し混乱。
ちょっと待った後に再度待合室に呼ばれ、先生からエコーが中止になった理由を聞かされました。
それは、いくつか確認できるしこりの範囲が広すぎて、切除範囲を確認するエコーを撮る意味があまりないと判断したためだとか。
結局別日に、広がりを確認するためのMRIの撮影をするということになり、この日は結局生理食塩水だけ体に取り込んだだけで帰宅の途につくことになりました。
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