囚われのシンデレラーafter storyー
「僕は、この2年、ずっとこの日を待っていたんだ。コンクールのことしか頭にないアズサの邪魔をしないように、僕のことをちゃんと見てくれる日まで待とうって! そうやって今、僕の気持ちを伝えているんだよ」
マルクの真剣な眼差しが胸に痛い。
「ごめん、マルク。軽率なことを言ったね。でも、私には大切な人がいるから、あなたの気持ちは受け止められない。ごめんなさい」
「アズサ、僕もごめん」
謝る私に、マルクが歪んだ笑みを見せた。
「僕も、簡単に言っているわけじゃないから、簡単に諦められないんだ。君は幸いにも結婚しているわけじゃない。恋に、出会った順番は関係ない。僕の気持ちは僕のもの。君を好きでいる権利も、気持ちを伝える権利もある」
「マルク――」
「僕は君を振り向かせてみせる。それでもだめだったら、僕は自分の意思で諦めるよ」
どう答えればいいのか――。
懸命に言葉を探す。
「休みに入る前にどうしても伝えておきたかったんだ」
張り詰めていたものが切れたように、今度はいつもの顔で笑っていた。
「なら、私もきちんと伝える。あの人は、ただの好きだの嫌いだので繋がっている人じゃないの。特別で大切で恋人以上の人。私の人生で、たった一人、運命の人だと思ってる。だから、他の人じゃだめなんだ。
じゃあ、ここまで送ってくれてありがとう。良い夏休みを!」
「アズサ……っ!」
マルクに手を振って、背を向けた。
どんなに心のこもった言葉でも、私の心にまでは届かない。
私の心には、他の誰も入り込めない。
あの人以外、誰も――。
思うだけで、胸を焦がす。
そんな人、西園寺さん以外にいない。