囚われのシンデレラーafter storyー
佳孝さんの目が、私たちの方を捕らえる。そして、すぐにその眼差しが柔らかくなった。真っ直ぐに私の方へと向かって来る。
”ご無沙汰しています”
こちらにたどり着くと、まず、ソコロフ先生に佳孝さんが挨拶をした。
”本当に、元気そうで良かったよ”
”ありがとうございます――”
そんな会話のそばで、私はまだ驚きを隠せない。
どうして――?
約束はしていないし、それに、私はこの先少しまとまった休みもある。
その休みを使って、佳孝さんのところにも行こうと思っていた。
そのことも佳孝さんに伝えてある。
忙しい中、今日、無理に来る必要はない――。
”ねぇ、ねぇ、アズサ”
考え込んでいる私の腕を、友人がつつく。
”コンクールの時にも来ていた彼よね?”
”うん。そう”
”今日は、どうして?”
私と佳孝さんを交互にちらちらと見ながら聞いて来る。
私も分からないのだから、答えようがない。
”うーん……”
”わざわざ来たんだから、きっと何か大事な用事があるのね。私たちは、もう帰るわ”
そう言って他の友人やマルクの背中を押し、足早に去って行く。
”え……っ”
”じゃあ、また今度”
私に手を振ると、さっさと行ってしまった。
”――じゃあ、アズサ、私たちも失礼するよ。今日は、いい演奏をありがとう”
”あ、ありがとうございました”
私の先生とソコロフ先生も連れ立って行ってしまった。
それに頭を下げる佳孝さんを見つめる。
「今日は、どうしたんですか? 来てくれるなんて聞いていなかったし、さっきの電話でも何も言っていなかったからびっくりしてます」
このロビーに二人だけになり、向かい合う。