春の欠片が雪に降る
ほのりが女らしくなくとも色気がなくともデカくとも。性別は性別で、仕事中だろうと異性を求める人は求める。
(高瀬くんや、奥田くんは大変だったのね)
関東にいる同期たちに想いを馳せる。
彼らの仕事を間近で見て理解していたつもりだったけれど、見ていたものはほんの一欠片だったのかもしれない。
いろんな場面でのさじ加減が事務とは違う。
ふぅ、と。相沢に気付かれないよう、ほのりは小さくため息をついた。
(あっつ……)
反省点ばかり頭を巡るからだろうか。
身体が熱くなるのがいつもより早い。
酔ってきてしまっている。
(って、わかってるうちに切り上げないと)
本格的に酔ってしまっては、笑い事では済まされない失態を犯すだろう。と思い至れる程度には自分が酒に強くないという事実を受け入れているつもりだ。