竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「起きてますし、元気です! ちょっと頭を打っただけですから!」


 竜王様はニコニコと笑う私を見て、安心してくれたみたいだ。ほうっと息を吐くと、私の頭にそっと手を置いた。


「心配させるな。驚いただろう」
「……すみません」


 そう言うと、竜王様の大きな手が、私の頭から頬に移動する。スリスリと優しくなでられ、一気に顔が熱くなってきた。な、なんで頬をなでるんだろう?


「あ、あの……」
「熱はなさそうだな」
「は、はいっ!」


(なんだ。熱があるのか調べてたのか。びっくりした……)


 そういう時はおでこにしてほしいけど、竜人は頬で調べるのかもしれない。きっとそうだ。それなのに、なぜか竜王様は頬に当てている手を、なかなか離さない。それどころか、そのまま耳のあたりの髪をゆっくり手でかきあげ始める。
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