竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
竜王様の少し冷たい手が、私の首筋に届いた。そのまま、するりと指先がうなじをさわり、私は息を止める。
「……っ!」
(熱はないのに、むしろこれで上がりそう!)
「竜王様、リコをお医者様に診せたいのですが」
「ああ、そうだな」
リディアさんのナイスアシストのおかげで、なんとか変な声を出さずにすんだ。竜王様はからかってるわけでもなく、真剣に私を心配してるだけ。一人でジタバタしてるほうが恥ずかしい。
『ママ、なんでドキドキしてるの? 体がぬくぬくしてきた〜』
もう私の返事がなくても勝手に喋ることにしたのだろう。お腹にいる卵くんは、楽しそうに話している。私が注意するように、そっとお腹を叩くと、『ふふふ。動かないから、だいじょうぶ!』と笑っていた。