竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 私は腕を交差させ、自分の体を抱きしめるように座り込んだ。それでも体の震えは止まらず、口からはカタカタと歯が鳴る音が聞こえてくる。


 すると竜王は非難の言葉を浴びせる女性達の声を制するように、片手を上げた。


「迷い人は殺してはならぬと言い伝えがある。なぜなら、迷い人はこの国に良き変化をもたらす者だからだ。五百年前の迷い人はたしか……医者で、流行していた疫病の治療をしてくれたんだったな」


(五百年前にも私のような人がここに迷い込んだんだ……。ん? でもお医者さんてことは、もしかして私に対しても、ものすごーく期待しているのでは……?)


 そう思い当たると命を狙われるのとは別に、ぞっと背中に寒気が走る。すると案の定、竜王が私に向かって今一番聞かれたくない質問をしてきた。
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