竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「それなら、おまえの身は王宮で預かろう」


 その言葉に周囲がざわつき始める。大勢の女性達の反対する声がいっせいに部屋にあふれ始め、私は身を縮めて気配を消そうと必死になった。


(私が言ったんじゃないですから! お願いだから私を見ないでください!)


 しかしこの世界で竜王に非難の声を向ける者はいないようで、全ての悪意は私に向けられていく。


「あの娘、やはり何か術を施したのでは?」
「危険だわ! 今すぐ首をお切りになればよろしいのに」
「王宮に不審者を入れるなど、竜王様に万が一のことがあったら大変だわ! 王家に代わってわたくしの騎士が処分いたしましょう」


(怖い……! みんな私を殺したがってる! 私だって今すぐ帰れるなら、帰りたいよ!)
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