竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 竜王様が来た? ここに? そもそもここって、どこだっけ? そんなことをぼんやり考えていると、急にまわりが暗くなったのを感じる。ぎゅうぎゅうに何かにひっつかれて、ちょっと息苦しい。私は少し動いて、体の位置を変えた。


「リコ!」


 ん……? 竜王様の声だ。どうしたんだろう? すごくあせってるみたい。私なにか変なことしたっけ……? 考えても思い当たらず、またぼうっとしていると、今度は竜王様の憎しみがこもった声が聞こえてきた。


「殺してやる……!」


 えっ! わ、私のこと? 私のこと殺すって言ってるの? そこまで怒らせることなんてしてないのに、どうしたんだろう。誤解を解けるのならそうしたいし、失礼なことをしたのなら謝りたい! 
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