竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


『おい! キール! 恥ずかしいから人前でそんなことするな!』
『うるさいな〜! 本当はヒューゴだってしたいくせに!』
「コラコラ、喧嘩しちゃダメよ」


 二頭がギャウギャウと吠えながら喧嘩し始めたので、私はあわてて止めに入った。しかし騎士たちは、そんな私たちの様子を目を丸くして見ている。


「気性の荒い竜が、初対面の女性にあんなに懐くとは!」
「では本当に、迷い人様には、竜の言葉がわかるのか?」
「う〜ん、リコが演技をしているようには見えませんから、竜たちが何を言っているのか知りたいですね」


 最後にシリルさんがそう言うと、まわりも同意するようにうなずいた。どうやら騎士だけじゃなく、竜王様たちもまだ半信半疑で、戸惑っているようだ。
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