竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「は、はい。もしかして竜王様もわからないのですか?」
「ああ、竜たちは俺の言うことを理解しているようだが、人の言葉は話していない。今、リコが会話をしていた時も、鳴き声にしか聞こえなかったぞ」
「えっ! 鳴き声?」


 どうやらこちらの竜と竜人は、日本でいうと飼っている犬との関係に似ているみたいだ。飼い主の言うことを理解しているし、行動や仕草で彼らの気持ちはわかるけど、「会話」はできない。


『でも竜気が弱い人の言葉はわかりづらいよ。その点、竜王様は特別! すっごく竜気が強いし、みんなの憧れなんだ!』
「そうなんだ……」


 するとその竜はクルルと甘えた声を出し、私の腕とワキの間に自分の頭を差し込んできた。この行動、居候していた家でお世話をしていたワンちゃんもやってた気がする。しかしその甘えた態度をしている竜のしっぽを、もう一頭の竜が引っ張って止めさせようとしていた。
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