竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「卵くんじゃなくて、ちゃんとした名前をつけてもらいたい?」


 すると、ポコンと驚いたようにお腹が動いた。しかしその後は、しばらくなんの反応もなくなってしまう。もう寝てしまったのだろうかと思ったその時、小さな呟きが私の耳に届いた。


『パパとママがいっしょに、なまえをきめてほしい……』


 この子ほど、私と竜王様の結婚を待ち望んでいる者はいないだろう。淋しい私を見つけ家族になってあげたいと、ママに決めてくれた。私は喉の奥がきゅうっと痛くなるのを我慢し、卵くんに返事をした。


「わかった。結婚したらパパと一緒に、卵くんのかっこいい名前を決めるね! じゃあ、おやすみ……」
『おやすみ、ママ……』


 気づくとあんなに強かった風も止んでいた。いろいろあった今日だけど、不思議とぐっすり眠れそうな気がする。私はそっとお腹に手を当てると、ゆっくり瞼を閉じた。
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