竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜




「寝すぎた……」

 ぐっすり眠れそうな気がするどころじゃなかった。空の雰囲気から察するに、もう昼だ。私があわてて侍女服に着替えていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。


「リディアです。リコ、起きましたか?」
「おおお、起きました起きました! すみません! 私ったら、寮の食堂の仕事に遅刻ですよね!」
「ふふ。起きてるなら、開けますね」
「はい! どうぞ!」


 すると入ってきたのはリディアさんだけじゃなかった。シリルさんと竜王様も一緒で、私の服を見て険しい顔をしている。


「リコ、もう迷い人の能力が判明したのだから、食堂の仕事はしなくていいだろう」
「えっ? でも人手不足だって……」
「食堂はなんとかなる。それよりも、リコにしかできない仕事をしてほしい」
「私にしか、できない仕事?」


 突然の展開に、ポカンと口を開けてしまう。すると竜王様は私のそんな姿を見て、ニヤリと笑った。
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