竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「へっ? 子供の竜……?」
『だから、俺だって言ってるだろ』
「えっ! 竜王様?」
「ああ。見ればわかるだろ。黒竜は俺だけだ」


 そんな! 知らなかったのだから、わかるわけがない。それに昼間に見た竜の姿は、空いっぱいに広がる大きさで威圧感もすごかった。それなのに今目の前にいる竜王様は、小さくてふよふよと浮いていて、ものすごくかわいい!


「こ、こんな小さくもなれるんですか?」
「ああ、大きさはけっこう自由自在だ」


 そう言うと竜王様は、手のひらサイズの黒竜に姿を変えた。ポンと私の手のひらに乗ると、大きな目で私を見つめている。


(う、うわあああ! かわいいい!!)


 あまりのキュートさに思わず、宝物のように目の前にかかげてしまう。すると持ち上げられた竜王様はフンと鼻を鳴らして、飛び立ってしまった。
< 89 / 394 >

この作品をシェア

pagetop