婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
「ソフィーは子供の頃僕たち兄弟と庭で遊んでいる時でも、花の名前や利用方法を聞いて勉強してたよね」


 隣国マリス王国とは友好関係を築いていて、昔から国交が盛んだ。それこそ婚約前エドワード様は、マリス王国の王女と結婚するのではと噂があったくらいだ。でもソフィア様の名前を愛称で呼ぶほど仲が良かったとは知らなかった。


なんだか喉が痛くて声が出せない。どうしたんだろう。


「そうでしたね、私は勉強が好きでしたから。それでも私に魔力があったなら、勉強より魔術のとりこになっていたと思います」


 同じ金色の髪に美しい青い瞳をして微笑み合う2人は、まるで一枚の絵画の様だ。豪華で繊細な刺繍が施された上品なドレスに負けない美貌には、嫉妬心すら起きない。


 それに引き換え私ったらいつもどおり仲直りして2人で魔術の練習をすると思ってたから、普段着のドレスなんか着てきちゃって……


 エドワード様が言ったことが正論だけに何も言い返すことができないけど、素直に謝る言葉も出てこない。握りしめたハンカチはもうクシャクシャになってしまった。


 
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