若旦那様の憂鬱
この人数だ。
花を見つけられるだろうかと心配になる。

ポケットでスマホが震え、 
目を通すと花からのメッセージだった。

既に下に来ている事を伝えておく。

しばらくエレベーターから降りて来る人々を見ていると、秒で花を見つける事が出来た。

近付いて行くと、
女子の他に男が2人一緒にいる事が分かる。
どう見ても花狙いの目線を感じる。

イラっとしつつも表面には出さず、
俺を探してキョロキョロしている花に声をかける。

満面の笑顔で小さく手まで振ってくれる。

その仕草が可愛くて、ささくれだった気持ちを穏やかにしてくれた。

一緒に居た花の高校時代の友達から声をかけられ、一緒に写真を撮る事になる。

後ろにいる男共がおもむろにスマホを取り出していることに気付く。

俺が離れるタイミングを狙って、
花に連絡先を教えて貰おうとしているのだと勘が働く。

1人に置いては行けない。

花も一緒に撮ろうと連れ出し、
俺から離れないようにさせる。

一枚だけ写真を撮り、そのままの流れで
皆に挨拶をして急がせ気味に2人で外に出る。
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