若旦那様の憂鬱
外は寒くて、
昼に溶けた雪がまた凍って地面が凍結し、
滑りやすくなっていた。

花が転ばないように今度は慎重に車に誘導する。

花を車に乗せホッとする。

俺も乗りこみ急いで車内を温める。

花のスカート丈が短過ぎて目のやり場に困るから、自分のコートを貸して膝掛け代わりに使ってもらう。

早々、皆の前から離れた事を不思議に思っていた花に、ついさっきの行動について説明する。

「だから、早くあの場を離れたの?
なんか怒ってるのかと思ったよ。」 
そう言って花が笑う。

その後、
久しぶりにファーストフード店のドライブスルーに寄って、
温まった車内で2人、ハンバーガーを頬張る。

久しぶりに食べたハンバーガーの味は、
どんな高級料理より美味しく感じた。

いつまでもこんな時間が続く事を祈ってしまう。
どうか、出来るだけゆっくり大人になって欲しいと切に願う。
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