俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 柴崎はそんな優羽を見て口元に笑みを浮かべた。その表情が怖くて優羽はぞくっとする。

「なぁ? 反論する優羽って、すげえいいな。お前、つまらなくなんかないよ。面白い」
 ──怖い……!

 優羽はぎゅっと柴崎を押しのけて、驚いているその脇を通り抜け、非常階段の外に出る。
 バタンと音を立ててドアが閉まっても、まだ心臓がばくばくと大きな音を立てていた。少し呼吸も苦しい。

 追いかけてくるんじゃないかと思った柴崎はさすがに追ってはこなかった。

 けれど、優羽の大きな鼓動は止まらない。
 エレベーター前で優羽は息を整えようとする。なのに呼吸はどんどん苦しくなっていった。

「吉野さん?」
 そんな優羽に声をかけてきたのは、今は別の部署に配属されている同期だ。

 彼は真っ青な顔で血の気を失っている優羽を見て、ひどく驚いた顔をしていた。

「ちょ……真っ青じゃん、大丈……」
 多分大丈夫?と声をかけられたのだと思うが、優羽はその言葉を最後まで聞くことはできなかった。
 意識をなくしてしまったからだ。
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