俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「私は、城ヶ崎くんって運動神経よくてすごいなぁって思うわ」
「吉野だっていつも本読んでるだろう。すごいと思うけど?」
「そんなことは……」

 優羽は目的なんて、割り切ったことは考えたことがなかった。ただ、読むのが好きなだけ。

「違うことでも城ヶ崎くんはきっと結果を残せる人だと思う。尊敬するな」
 やはり学年でもトップクラスの人ともなると言うことが違うのかもしれないと素直に感心し、優羽は返す言葉を失った。

 外の騒がしさに反して、部屋の中の静かに時間が流れる雰囲気はとても柔らかく感じた。こうして二人でいる不思議な雰囲気と妙に噛み合って、なんとなく居心地の悪さは感じない。

 そもそも優羽は一緒にいる誰かが言葉を発しない静かな中でも過ごせるタイプだ。

 城ヶ崎の周りにはいつも人がいて賑やかにしているから、こんな優羽といるのは息が詰まるんじゃないかと思えば、自然にしていて特に苦痛ではないようなのも不思議だった。

  なんでもできて、華やかな人。それだけの印象だったのが、あの少しの時間を過ごしたことで静かにも過ごせる人なのだということを知った。

 その時、城ヶ崎が手にしていた台本をパラパラとめくったのだ。
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