俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 ──こ、子供?それって……。
 ラプンツェルが夜な夜な王子を塔に引き入れ、結果妊娠するのはなかなかに刺激的だ。

 しかも髪を切られたラプンツェルは塔から放逐され、ラプンツェルの髪だと思って魔女に騙され塔に登った王子は塔から落ちて、目が潰れるという割と衝撃的な話だった。

 優羽が読んだものでは、塔は女の子を守るもので、その少女を妊娠させてしまった王子にも苛烈な罰が与えられることで、天罰が下されているのではないか、という解釈だった。

 クラスメイトの脚本では歌声に惹かれた王子がラプンツェルを塔から救い出し、追ってくる魔女に髪を捕まれ捕らえられそうになる。

 それを王子が髪を切って助け、魔女をやっつけ、国に戻って幸せに暮らす、という話なのだ。
 確かに原作通りでは学校で上映することなど難しいだろう。

 グリム童話はともかくとして、城ヶ崎がそういったことにまで造詣が深いというのは意外でもあり、本が好きな優羽のことを知っていることも意外だった。

 原作とは違うけれど『ラプンツェル』はとても好評で、校内の演し物の人気投票では一位になっていた。
 それはひとえに城ヶ崎の王子様がカッコよかったからではないかと優羽は今でも思っている。
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