太陽と月の恋
無料体験
25歳の誕生日。
変わりない平日の午後6時半。

私は駅から徒歩2分のスポーツジム「セガワフィットネスクラブ」の受付で説明を聞いていた。

白を基調とした内装に、たまに黒や蛍光色のインクが飛び散ったような装飾がなされたロッカー。
ロゴのSEGAWAの4番目の「A」が走ってる棒人間のような人体となって、受付カウンター上部にデカデカと描かれていた。

前髪もまとめてポニーテールにした、アイラインはっきり、眉毛もキレイに左右対称の高身長のお姉さんがロボットのような笑顔で対応する。

受付カウンターの脇でタブレット相手に説明を読み込む(読み終わったらお声がけください、とだけ言ってお姉さんは他の利用者さんの対応に当たってる)私の背後を様々な男女が行き交う。

全員運動に全てを賭けたような表情。
通い慣れてるのだろうか、無駄な荷物は何もなくボトル一本片手に颯爽と歩いていく。

私はさっきから心臓がキュッと縮んだまま、場違いな気がしてならない。

体育だって苦手な方の吹奏楽部員。
筋トレもロクにしたことがない。
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