跡取りドクターの長い恋煩い
 「むむむむ、無理。無理だよ!
 そ、そんなの入んないから!」

 ベッドから逃げ出そうとする。

 「待て! 笑美里、逃げるな」

 ここで逃げられるわけにはいかない。

 「だって――そ、そんなに大きいと思わなかったんだもん」

 大きいって……。

 「やだ、今もっと大きくなった!
 無理無理無理無理……」

 「お、落ち着け、な?」

『大きい』なんて言われたらさらに大きくなるに決まってるだろう。

 しかし半泣きになって逃げだそうとしている笑美里にとって、これは脅威でしかないのだろう。
 どうする?
 経験がない、余裕がないなんて言って俺が怖気づいている場合ではない。笑美里に逃げないでもらうには――。
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