跡取りドクターの長い恋煩い
 思ったより硬くはなかった。
 笑美里はどこもかしこも柔らかそうだ。

 「ふふふっ……くすぐったーい!」

 キャッキャと笑う笑美里は可愛かった。

 元々、集まっている子供たちの中でも飛び抜けて可愛かった。

猫みたいな目がくりくりしていて、色白の顔は丸くてとても小さい。

 でも何故だろう?
 キスした後の方が、もっと可愛く見える?

 「じゃあ、笑美里もここにして」

 俺はくすぐったいという笑美里の気持ちが知りたくて、自分のほっぺを指差した。

 「ふふふっ!  いーよー」

 そう言ってまた俺のジャケットの襟を引っ張り、無理やり屈ませ、俺のほっぺにキスをした。

 なんだろう……。
 どうしてこんなにドキドキするのだろう?

 二歳も下の、この前まで幼稚園児だったガキに好き放題されているのに、全く嫌じゃない。

 「そーしくん、これあげる」

 にっこり笑ってワンピースのポケットから差し出されたのはミルキーだった。

 ……やっぱりこれを食べてたんだな。

 「……ありがとう」
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