跡取りドクターの長い恋煩い
 「そーしくん、つぎはね、おでこにチューして!」

 「……!」

 それはさっきのカップルが下まで降りた時にしていた事だ。
 なるほど、フルコースで俺に相手をさせるのか……。
 笑美里はニコニコしながら目を瞑った。

 え、あれをするのか?
 おでこに?

「……」
 
 さっきの、柔らかかったよな……。
 ミルキーのような甘い味がしたし……。
 おでこは、きっと硬い。
 どうせなら柔らかい方がいい。

 そう思った俺は、吸い寄せられるように笑美里の唇にまたキスをした。

 「……んん?  もうっ
 そーしくん、ちがうよ〜!
 おでこ!  えみり、おでこにしてほしいの〜」

 「あ、ああ……」

 やっぱりミルキー味だったな……と思いながら、3度目は笑美里の希望通りおでこにキスをした。
< 21 / 179 >

この作品をシェア

pagetop