跡取りドクターの長い恋煩い
 はあ……それにしても綺麗なお顔よね。
ドキッとするくらい赤い唇だし。
 
 ピンポーン
 
 あ、思い出してドキドキしている場合じゃなかった。
 そういえば、ご飯が出来たら連絡するって言ってたっけ。
直接来たの?
 頭の中は支離滅裂で、色々と思い出すのに忙しいのに本人が来たのか。
 
 はぁ……あの唇と私の唇が……。
いや、本当はそれ以上のこともしちゃったのかもしれないんだけど、私にとってはキスの記憶の方が生々しくって……。

 思考はどうやってもあのキスに舞い戻るのだ。
 
 ピンポーン
 
 はいはい、今開けまーす。
 ドアを開けると、そこにはやはり宗司くんが立っていた。

 
 ◇◇
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