跡取りドクターの長い恋煩い
「笑美里先生が可愛い! ってね。
病棟が変わる前に飲みに誘うんだって。
 いつの間にか下の名前で呼ばれているし」

 なんだと?
 ただでさえ忙しくて、マンションに帰ってから晩飯の時しか一緒にいることができないんだぞ? 
それなのに、病棟ナース達と飲みに行くだ? 
俺と過ごす時間が減るじゃないか!

「却下……却下です」

「……はぁ……相変らず独占欲半端ないな。
 よく考えてみろ。上手く行けば、未来の院長夫人だ。
 そんな彼女が患者やナースに可愛がられてるって最高じゃないか。
 それに余裕のない男は嫌われるぞ」

「……」

 確かに。笑美里は未来の院長夫人だった。

人望って大事だよな。望んで得られるものじゃない。あとからついてくる評価だもんな。

 俺の笑美里が人気者なのは当然だ! 
あんなに可愛くて品があって、カラダはエロいんだから。
 おっと……最後のは俺しか知らないことだったな。

「わかりました。男は余裕、包容力、経済力ですよね?」

「ああ、そうだな……?」

 あ、あと生活力も必要だったな。スパダリ、スパダリ……と。


 
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