跡取りドクターの長い恋煩い
「幸太郎はいいのよ。私ができるから。
 ……いい?  よく聞いて。
 宗司は万人受けするスパダリになる必要はないの。ターゲットは笑美里なんでしょ?
 笑美里のためのスパダリになるのよ!
 だったら料理は完璧に出来ないとダメよね」

 な、なるほど……。
 笑美里のためのスパダリか。

「わ、わかった。料理、やるよ」

 これが男子料理部に入るきっかけだった。

 俺は料理の腕を磨き続けた。

 その後も、幸太郎と瞳は常に一緒なので、俺たちは三人で食べに行くことが多かった。

 そしてその都度、二人から笑美里の情報が入る。俺はその時を楽しみにしていた。



 ある時、幸太郎が言った。

 それは大学2年、前期の試験が終わった直後のことだった。

「模試の成績が振るわない」

 笑美里の成績についての話だった。
 その時、笑美里は高校3年になっていた。受験まであと数ヶ月。本人の希望は小さい頃から変わらず医学部だ。
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