クールな許嫁の甘い独り占め。
結局一度も全員一致を出すことなく、ゲームは終了した。
チーム戦で多く合わせられたチームが優勝なので、私たちはぶっちぎり最下位。
「ったく、なんなんだよ…」
今だったら、話せるかな?
「あの、目黒くん。この後時間あるかな?」
私は意を決して聞いてみた。
「…ないって言ったら?」
「作って欲しいの」
ここで引いたらダメだ。
ちゃんと向き合うって決めたんだから。
ものすごく心臓がドキドキしてるけど、逸らさずに真っ直ぐ目黒くんの目を見た。
「…わかったよ」
目黒くんは踵を返して会場から出ようとする。
多分、来いって言ってる。
私も目黒くんの後を追って会場を出た。
* * *
「…で、何の用だよ」
二人きりになった途端、足がすくむ。
さっきまで普通に話せていたのが嘘みたいに、指先が震える。
やっぱり怖い。
でも、言わなきゃ。
「…私、ずっとこわかった。怖くて言えなかったけど、ずっと聞きたかった。
どうして時々、苦しそうにしてるのかなって…」
強引で意地悪なのに、時々私を見る目がとても寂しそうで、苦しそうでもある。
「私のこと嫌いなんでしょ?だから意地悪するんでしょ?
なのにどうして寂しそうにするの?
目黒くんの考えてることがわからない…」
だから、聞きたい。
何を考えてるのか、教えて欲しい。
「…だから、嫌いじゃねぇよ」
「でも、」
「お前のこと嫌ったことなんか一度もない!」