クールな許嫁の甘い独り占め。



「…なんでお前が泣いてんだよ」

「だって…っ」



気持ちに応えられないことが、こんなにも辛いんだって知ったから。

今まで私は、告白されても恋が何なのか知らなかった。
よくわかってなかった。

でも、今は知ってしまったから。
誰かを好きになるということが、どういうことか――。



「…俺が最初から素直になってたら、俺たち違う関係性になってた?」

「違ってた…友達になれてた」

「それでも友達かよ」

「だって、私には蒼永しかいないから…」



目黒くんに告白されたあの時、まだ蒼永に恋をしてなかったけど。

でも、恋する気持ちは蒼永にしかあげられない。
蒼永じゃないとダメなの。



「俺はお前と友達にはなりたくねぇ」

「うん…ごめんね…っ」

「…いーよ、もう。つーかこれ見よがしに指輪見せつけやがってムカつくんだよ。
あと無駄にかわいいカッコすんのやめろ」

「…指輪(これ)は、勇気が湧いてくるかなって思って。蒼永が傍にいてくれるみたいで」

「お前の頭はそいつばっかかよ」

「そうだよ」



他の人のこと考える隙なんてないくらい、蒼永のことでいっぱいなんだよ。



「…アホらし。帰るわ」

「待って、目黒くん!」


最後にこれだけ言わせて。


「私のこと、好きになってくれてありがとう…!」



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