独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
12.やっとつかまえた ~Side瑛~
遅めの夕食をとり、後片づけを引き受け、彩萌に先に入浴するよう促す。

疲れているだろうし、早く体を休めてほしい。


食事中、改めて花嫁修業の件について説明した。

ただ、彩萌が心配でこれ以上負担をかけたくないからだと伝えた。

決して彼女を軽んじているわけではない。

もちろんこの件は、父も母も納得していたし、大事な体の彩萌が余計な気を遣わないようにマンションで暮らすように考えた件も話した。


さらに時芝の令嬢の嫌がらせの件は、口の重い彩萌を説き伏せ、詳細を聞き出した。

度重なる過去の暴言もある時芝家には、正式に抗議をし、くだらない会は解散させる。

もちろん時芝母娘にはそれなりの制裁を科す。

加えてしばらくは本家に出入り禁止にし、親族の集まりにおける発言権を奪う算段だ。

俺の大切な花嫁を傷つけた罪は、しっかり償ってもらう。

彩萌は心苦しそうにしていたが、簡単に許すつもりはない。



風呂に入り、リビングに戻ると、ソファの上で彩萌がうたた寝をしていた。

どうやら髪を乾かす前に、眠気に負けてしまったようだ。

張りつめていた気持ちが緩んだのかもしれない。

とても喜ばしいが、一方で負担をずっとかけていた現実に心が軋む。


そっと柔らかな頬に指を滑らす。

彩萌は皮膚が薄いので、風呂上がりの今は少し赤みがかっていて、そこはかとない色気が漂う。

妊娠して体型が変化するのを少し恥ずかしそうにしていたが、俺からすればどんな彩萌も魅力的だ。

自分の子どもを育んでくれているのに、愛しくないわけがない。



「……本当に、悪かった」



耳元近くでささやくと、彩萌が少しだけ身じろぎした。

ふわりと甘い彼女独特の香りが立ち上り、心拍数が上がってしまう。

同じシャンプー類を使っているはずなのに、どうしてこんなに甘いのか。

不埒な考えがよぎり、思わず苦笑した。
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