独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
こんなに愛する人に出会えるとは、数年前は予想もしていなかった。

唯一無二、そんな言葉を体感する日が来るとは思いもしなかった。

どんなに周囲に反対されようとも両親が寄り添う気持ちが少しわかった気がする。

大切にしたいのに、本心を伝えるのが苦手で言葉が足りず、すれ違って何度も傷つけた。

それなのに、独占欲と焦燥感だけは際限なく募りイラ立ってばかりだった。

頑なな心を彼女はゆっくりほぐしてくれた。

どんな時も一番に、真っ直ぐに、手を差し伸べてくれた。

抱きしめた腕の中の温もりと存在に、とてつもなく癒される。


胸の奥にこみ上げる熱い感情すべてを、どうしたら伝えられる?


愛しいと何度口にすれば、表現できない想いは届くだろう。

愛している以上の気持ちを、どうやって言葉にすればいいのだろう。



「ん……」



小さく声を漏らす妻の頭をそっと撫でる。

出張から戻った際の家は冷たく、がらんとしていた。

彩萌がいないだけで、部屋も俺の心もたちまち色をなくしてしまう。

彼女がいなくなってしまうなんて、もう二度と考えたくない。
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