独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
必死の願いが伝わったのか、瑛さんの母は迷いながらも了承してくださった。



『ただし、今は結婚式の準備もあって忙しいでしょう。体に負担がかかるといけないから、様子を見ながら進めましょうね』



『ありがとうございます』



『私が教えてもいいんだけど、今と少し違っている部分もあるから……同年代の方のほうが緊張しないだろうし、先生については少し考えさせて。この件は私から瑛に話しておくわね』



自分で瑛さんに話すべきではと考えたが、瑛さんの母の弾んだ声になにも言えなくなった。

彼がこの報告を聞いたときの反応だけが、気がかりでとても怖かった。



「頑張りすぎじゃないの? それともなにかあった?」



心配そうに私の顔を覗き込む親友に、しきたりを習う件も含めて、心の内をぽろぽろと吐き出す。

彼女は私の拙い説明を黙って聞いてくれた。



「しきたりの件はよく行動したわね。でもあとのことは……彩萌が自覚しているかどうかの話でしょ」



「どういう意味?」



「一緒にいると不安になったり胸が苦しくなって、一挙手一投足に心が揺れるのよね? しかも毎日がっつり抱かれていても嫌悪感はない。ご丁寧にキスマークまでついてるし」



芙美がニッと口角を上げ、綺麗にネイルを施した指で自身のうなじを指さす。



「えっ……」



「至近距離でまじまじと見なくちゃわからないところにつけてくるあたりが、策士よね」



恥ずかしい指摘にバッとうなじを手で覆う。
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