独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「ダメ。契約相手にそんな甘さなんて、絶対に望んでいないわ」



「なんで? この期に及んで以前の婚約者に未練があるとかでもないでしょ」



何気ない台詞に、胸を鋭く突かれた気がした。

瑛さんは里帆さんについて多くを語らない。

むしろ私が知って踏み込むのを、避けているようだった。

身内の醜聞だからか、私への気遣いなのかと深く考えなかったが、真実は違うのかもしれない。



もしかして……里帆さんを好きなの?



多くを語らず、無愛想な物言いが目立つ瑛さんだけど、本当はとても優しい人だ。



だからこそ行方不明になったとき積極的に捜さなかった? 



大切な想い人に、自由な人生を贈るために。


頭に浮かんだ考えに胸が苦しくなる。

足元にパックリと暗い大きな穴が開いた気がした。



「彩萌、大丈夫? 顔色が悪いわ」



ハッとして瞬きを繰り返すと、親友が心配そうに見つめていた。



「……あの人は、ずっと里帆さんを想っているのかも」



だとしたら、もうどんな努力をしても無駄な気がする。



「まさか。特殊な事情だらけの結婚だし不安になるのはわかるけど、勝手に決めつけちゃダメよ。今月末には入籍でしょ? きちんと話し合いなさい」



しっかり者の親友の助言に、素直に首を縦にふれなかった。
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