独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
想いを自覚してから、彼の振る舞いや言動に翻弄される毎日を過ごしていた。

抱きしめられて眠るときも、体を重ねている瞬間も、瑛さんの体温や吐息に過剰に反応してしまう。



もっと触れたい、触れてほしい。



私だけを見て。



醜い独占欲が心の隙間からこぼれ落ちそうで、隠すのに必死だった。

気を緩めたら、想いがすぐに溢れそうで怖かった。



告白なんて、迷惑なだけ。



でももし、この想いがバレたら?



疎まれる? 



もしくは婚約破棄? 



それだけは絶対に嫌だ。


想像した途端、胸が張り裂けそうに痛んだ。

想いが届かなくても構わないから、せめてそばにいたい。

やるせない気持ちを抱えていると、瑛さんの母から連絡を受けた。

先生を務めてくれる人と引き合わせたいと言われ、ホテルのティーサロンに向かう。



「初めまして、富田一貴(とみたかずき)です」



大きな目と右目尻にある黒子が印象的な長身の男性に自己紹介された。



「新保彩萌です。よろしくお願いします」



「一貴くんは私の妹の息子なの。実家の呉服屋を立派に守っているしっかり者の二十九歳で、瑛とも親しい間柄よ。先生にぴったりの人物だからなんでも聞いてね」



瑛さんの母が朗らかに教えてくれる。



「伯母様、買い被りすぎですよ。瑛くんには今日の件を連絡したんですが、都合がつかなかったみたいで同席できないと言われました」



「そうみたいね、残念だわ」



「新保さん、僕では力不足かもしれませんがよろしくお願いしますね」



「いえ、とんでもないです」



私の緊張を察してか、富田さんはさりげなく楽しい話題を提供してくれた。

彼のおかげで穏やかな時間が過ごせ、また今後のスケジュールについても確認できた。

これからできるだけ早くマナーやしきたりを身に着けたい。
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