独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
あれ? 


私、前回の生理はいつだった?


記憶を探るが、思い出せない。

すぐ近くに置いたバッグからスマートフォンを取り出し、スケジュールアプリを起動する。



……三週間以上、遅れてる……。



引っ越し、入籍、結婚式と目まぐるしい環境の変化と報われない恋心にいっぱいいっぱいでず気づかなかった。



もしかして私……妊娠している……?
 


ふいに頭に浮かんだ想像に、慌てて妊娠時の症状について検索してみると、最近の体の状態にほぼ当てはまっていた。



「赤ちゃんが、いるの……?」



つぶやいた声が掠れる。



待って、落ち着いて。



まずはきちんと確認しなくちゃダメよ。



無理やり自分に言い聞かせ、頭を必死で回転させる。

震える指でバッグを掴み、ゆっくりと立ち上がった。



「け、検査薬……」



声を出し、のろのろと自宅を出た。

倦怠感は変わらないが、じっとしていられない。

マンションのすぐ近くにあるドラッグストアに向かい、人目を気にしつつ、検査薬を購入した。

バッグを抱えるようにして自宅に戻り、検査薬を握りしめたまま廊下を行ったり来たりする。

やましいわけでも、悪いことをしているわけでもないのに、なぜこんなに緊張するんだろう。

ドクドクと鳴り響く鼓動がうるさすぎて気持ち悪い。



大丈夫、なにも怖くないわ。



何度も言い聞かせるがなかなか決断できない。



……瑛さんは喜んでくれる?



彼の姿が頭をよぎる。



結果を伝えたいなら、検査しなくちゃ。



頭の中でもうひとりの私が強く言い募る。

ふう、とひとつ大きな息を吐き、ゆっくりとお手洗いに向かった。
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