【砂の城】インド未来幻想
「その受賞者は……三十二番、ガネーシャ村、ナーギニーとする!」

 ――え……?

「やったわ! ナーギニー!!」

「え……?」

 シャニの言葉を解する間もなく彼女が感じたのは、シュリーの抱き締める腕の強さと、甲高い喜びの声であった。途端、砂と人の群れで(くす)ぶる真中を、二人は再び押し流されていく。シュリーによって手首を掴まれたナーギニーは、いつの間にか階段を駆け上がり、いつの間にかシャニの顔前に引き出されていた。

「シュ、シュリー……」

 受賞の二文字を噛み締める余裕もなく、少女は弱々しい声を洩らして、咄嗟にシュリーの腕へしがみついた。シャニの長く細い淫靡(いんび)な両眼が、全身を舐め回していたからだった。

「シュリー、そしてナーギニー。二人共おめでとう。今朝、各州に送り込んでいた伝令が全て集結し、選良披露に出場する他州の代表者が決定したと連絡が入りました。例外ではありますが、貴女方二名をこのウッタルプラディッシュ州の代表者と認めます。……良いですかな、お二人共? 六日後から一週間掛けて行なわれる寵姫(ちょうき)選別期間を楽しみにしておりますよ」

 シャニは淀みなくそう言い、ニヤリと軽く笑んでみせた。垂れ下がった頬の肉塊が、まるで生き物のようにぐにゃりと(うごめ)く。再びナーギニーをじっと見つめ、家臣の一人に目配せをしたシャニは、今後の予定を説明する為に、二人を廟の裏へ連れていくよう命じた。


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